2013年11月10日

デューク大学、メタマテリアルを利用した電波ハーベスティングデバイスで高効率を達成

デューク大学の研究者が、メタマテリアルを利用して電波ハーベスティングの高効率化を達成したとのことです。

メタマテリアルは、自然界には存在しない、負の屈折率を持つ人工物質です。
 

duke.jpg
 
 

 

電波のエネルギーから直流電力へのエネルギー変換効率は、メタマテリアルを使用することによって、6-10%から36.7%に向上したとのことです。
また、電圧7.3Vの直流電流が得られたので、携帯電話の充電にも使えるとのことです。


携帯電話の充電に使える、とデューク大学のプレスリリースに書いてあるのは、誤解を招く表現です。確かに、リチウムイオン電池の充電電圧は超えていますので、電波エネルギーを収穫して、携帯電話の充電に使うことはできます。問題は、フル充電にするのにどの程度の時間がかかるか、です。
 

仮に5V・1W供給できれば、数時間で携帯電話をフル充電できるでしょう。しかし、供給電力が5V・100μWだったとすれば、フル充電に必要な時間は1万倍、数年間かかることになります。電波ハーベスティングのネックはエネルギー密度の低さなので、効率が数倍になっても、実用的な意味で携帯電話の充電に使えるようになるわけではありません。

 
効率36.7%の条件も明確にする必要があります。ワイヤレス給電で入力が大きければ、もっと高い効率も可能です。

下の図は、論文に掲載されたものです。

duke2.jpg

グラフを見ると、入力エネルギーが24dBm、つまり250mWのときに、単体の発電デバイスの効率が13%ぐらい、デバイス5つのアレイ(冒頭の写真にあるもの)の場合の効率が36.7%、アレイの電圧が7.3Vぐらい、ということが読み取れます。

単体のデバイスでは、従来と比較して劇的な効率向上というわけでなないので、メタマテリアルを使った効果は、アレイ化にあるのでしょう。
 

デューク大学のプレスリリースには、電波ハーベスティングだけでなく、振動や音からのハーベスティングにも応用できるとかかれています。音波には屈折率が定義されていず、音に対するメタマテリアルというものがどのようなものかわかりませんが(音速がマイナスになるはずはないので、謎ですが)、将来、何か画期的な原理で発電効率が上がる可能性はあるかもしれません。

参考情報:
Wireless device converts 'lost' energy into electric power

Metamaterial cells designed by Duke engineers provide electric power as efficiently as solar panels
(2013年11月7日、Duke Universityプレスリリース)
A microwave metamaterial with integrated power harvesting functionality

Appl. Phys. Lett. 103, 163901 (2013)

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posted by 竹内敬治 at 21:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | エネルギー・ハーベスティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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