2012年08月26日

力学的エネルギーを直接化学エネルギーに変換する自動充電電池

先週に続いて、ジョージア工科大学のZhong Lin Wang教授らの発表です。

Wang教授らは、力学的エネルギーを圧電素子で電気エネルギーに変換し、整流し、二次電池に充電する(化学エネルギーに変換する)という従来のプロセスを、1ステップで実現する自動充電電池を開発しました。
 
力学的エネルギーを直接化学エネルギーに変換します。
 
powercell2.jpg
  

Wang教授が持っているのは、カソード(正極)、アノード(負極)、分離膜です。
これらを重ねると、自動充電電池ができあがります。
 
powercell.jpg
 
カソード(左写真の上部)はLiCoO2、アノード(左写真の下部)はTiO2でできています。
電極間の分離膜は、圧電性ポリマーPVDFです。
  
この電池を、靴のかかとにつけて踏んだりすることで圧縮すると、
PVDFにピエゾポテンシャルが生じ、リチウムイオンがカソードからアノードに移動します。
アノードに移動したリチウムイオンはTiO2(酸化チタン)と化学反応を起こしてチタン酸リチウムになります。
このプロセスで、力学的エネルギーが、電気エネルギーを介することなく、直接化学エネルギーに変換されます。
 
実験では、2.3Hzのペースで圧縮を繰り返すと、4分間で電極間の電位差が、327mVから395mVまで上昇しました。
その後、電極間に負荷抵抗をつなぐと、1mAで2分間放電して元に戻りました。
  
この1ステップの充電プロセスは、従来のプロセス(発電と充電を分離したプロセス)と比較して、充電効率が5倍とのこと。

実験に使われたデバイスでは、投入された機械的エネルギーの大部分が、ステンレススチールのケースの変形に使われているとのこと。ケースの改良などで、性能は向上すると思われます。

機械的エネルギーから化学エネルギーに直接変換することで、充電効率が向上するだけでなく、デバイスのサイズや重さも小さくなります。コストも下がるでしょう。
 
環境中のエネルギーから、電気エネルギーを介せずに電池に充電できる方法は、他にもあるでしょうか。


参考情報:
Hybrid Electric Energy: Self-Charging Power Cell Converts and Stores Energy in a Single Unit
(2012年8月21日、Georgia Tech Research News)
Hybridizing Energy Conversion and Storage in a Mechanical-to-Electrochemical Process for Self-Charging Power Cell
(2012年8月9日、NANO Letters)

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posted by 竹内敬治 at 19:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | エネルギー・ハーベスティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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