2012年07月16日

MITが光・振動・温度差のハイブリッド発電用電源回路を開発

 MITの研究者が、光、振動、温度差から同時に発電するための電源回路を開発しました。
  
New chip captures power from multiple sources
 
このような、ハイブリッド発電方式の論点のひとつは、各発電方式での発電量のバランスです。
 
2つの発電方式を組み合わせたときに、ひとつの発電方式の発電量がもうひとつの100倍だったとしたら、2つを組み合わせる意味があまりありません。ハイブリッド方式にするよりも、よく発電する方を2倍用意した方が、コストも下がるのではないか、という話もあります。
 
  
  
それは置いておきまして、ここでは回路技術について触れます。
 
このMITの研究では、低照度の光電変換では0.2〜0.7V、振動発電(圧電)では〜5V程度、室温付近の熱電発電では0.02〜0.15Vの起電力が得られることを前提にしています。これらのうち、温度差から得られる0.02V(20mV)付近から、半導体が動作する電圧まで昇圧することが課題となります。
 
リニアテクノロジー社が、20mVからの昇圧回路LTC308を販売していますが、これは外付けのトランス(変圧器)が必要になるので、システムの小型化は困難です。
 
今回の発表を行ったAnantha Chandrakasan教授とPh.D.のSaurav Bandyopadhyay氏が開発した熱電発電用の回路が2011年のEnergy Future誌(MIT Energy Initiativ) に掲載されていますので、紹介します。
  
MIT.jpg
 
この回路では、スタートアップ電圧を得るために、外付けのインダクタ(コイル)とメカニカルスイッチを使っています。
 
熱電素子からの起電力は小さいですが、コイルに電流が流れるとエネルギーが蓄積されます。機械的な動きで回路をON/OFFすると、瞬間的に電流値が変わりますので、コイルには大きな起電力が生じます。この電圧でスタートアップ回路を作動させるというアイデアです。
熱電素子で35mVの起電力が得られれば、スタートアップ回路が作動し、いったん動き出せば25mVの起電力でも継続的に昇圧が可能とのこと。
 
今回発表されたハイブリッド発電用電源回路は、このときの回路を拡張したものと思います。
ひとつのインダクタを、光発電の昇圧、熱電発電の昇圧、圧電発電の昇降圧に共用しているとのことです。
MPPT(Maximum Power Point Tracking)機能も組み込まれており、ピークトラッキングの効率は96%、と論文のアブストラクトには書かれています。

複数のエネルギー源が存在することを前提としたアプローチは、面白いと思います。実際に使える環境がなければ絵に描いた餅になってしまいますが。
 
 
参考情報:
New chip captures power from multiple sources
System developed at MIT could combine power harvested from light, heat and vibrations to run monitoring systems.
(2012年7月9日、MIT News)
Energy Futures
(2011年春号、MIT Energy Initiative)


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posted by 竹内敬治 at 21:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | エネルギー・ハーベスティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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