2012年03月25日

広帯域の環境振動で発電する双安定複合材料の開発プロジェクトが英国で始まる

英国工学・物理科学研究会議(EPSRC)の助成で、広帯域の実環境振動で発電する「双安定複合材料」(bistable composites)の開発が始まりました。
2012年1月〜2015年1月までの3年間で、助成額は374,027ユーロ(約4000万円)です。
 
Measuring shake, rattle, and hum
 

双安定複合材料とは、安定した状態が2つある材料のことです。上の写真のように、上下から力を加えることで、2つの安定した状態が入れ替わります。ペコペコする、という感じでしょうか。圧電材料をラミネートして作ります。

外部振動に共振させるタイプの発電デバイスは、単振動に近い安定した振動源があればよく発電しますが、実際の環境には、そんなに都合よく振動してくれるものはめったにありません。振動発電が広く普及するためには、広帯域の振動数を含むランダム性の高い実環境振動でも発電する工夫が必要です。

そのためにはいろいろな工夫が考えられていますが、そのうちのひとつが、バイナリータイプと呼ばれる、2つの安定状態を持つデバイスです。非線形性があるので、設計や解析は難しいですが、いろいろなところが開発しています。
圧電材料を使うものでは、カンチレバーの先端と対向位置に磁石をつけて反発させるものとか、カンチレバーを垂直に立てて重力を利用するものとか、アイデアはいろいろあります。
今回提案されている形状は、構造が単純になるのでコストも安く適用範囲も広そうです。


これまでも紹介してきたように、英国は、エネルギー・ハーベスティング分野への政策的支援を積極的に行っています。
このプロジェクトも、Energy Harvesting NetworkやMetrology for Energy Harvestingとの相乗効果が期待されます。
単発のプロジェクトにはない戦略的な動きがあります。


参考情報:
Measuring shake, rattle, and hum
(2012年3月22日、Physorg.com)
Optimisation of Broadband Energy Harvesters Using Bistable Composites
(EPSRC)


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posted by 竹内敬治 at 17:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | エネルギー・ハーベスティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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