2012年03月04日

エレクトレットや圧電材料を使った太陽光発電方式

エレクトレットや圧電素子というと、一般には、振動発電デバイスなどに使われる材料ですが、今回は、これらを太陽光発電に応用する技術を紹介します。
 
Solar cell improvement with the piezophotronic effect
 
上の図は、圧電素子を利用した太陽電池の構造図です。
n型半導体層に、圧電物質のZnOを使用しています。
圧縮したり、ひっぱったりすると、バンドギャップの大きさが変化して、吸収する光の波長や、出力電圧が変わります。
 
この原理で、太陽電池の発電効率が向上します。
もともとは、圧電素子を使うと発電効率が向上するという現象が観察されて、その理由が分からなかったのですが、理論的な説明がついたとのこと。
 
この分野では有名な、ジョージア工科大学のZhong Lin Wang教授の研究です。
 
*** 
  
次は、エレクトレットを使った、新しい太陽光発電方式です。
 
electret.jpg
 
特定の波長の光をあてると、色が変わる物質を、フォトクロミック物質と言います。
別の波長の光をあてると、元の色に戻ります。
 
この物質を分極処理すると、「エレクトレット」になるとのことです。
(「エレクトレット」という言葉の使い方が、これでよいのか分かりませんが)
 
この「エレクトレット」に、紫外線をあてると、分極率が変化して、回路に電流が流れます。
つぎに、可視光線をあてると、分極が元に戻って、回路には逆方向に電流が流れます。
 
上図よりも、下図の方が分かりやすいでしょうか。
 
electret2.jpg
 
電流が流れますので、負荷抵抗を入れれば、発電できます。
 
ある条件をおいて、計算すると、理論効率は16%になるそうです。
(詳しくは、論文を参照してください)
 
今までにない発電原理の提案です。
 
  
気になる点は、波長の異なる光に交互に照らされる環境というのが、どこにあるのか。
 
短周期で点滅するLED通信と組み合わせることはできるでしょうか。
 
***

これらのように、新しい太陽光発電方式が、いろいろと開発されています。
 
日本発、というものも、出てくるのを期待しています。
 

 
 
参考情報:
Piezoelectricity improves solar cell efficiency
(2012年3月2日、Chemistry World)
Photochromic Electret: A New Tool for Light Energy Harvesting
dx.doi.org/10.1021/jz2014506 | J. Phys. Chem.Lett. 2012, 3, 51−57

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posted by 竹内敬治 at 20:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | エネルギー・ハーベスティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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