2011年12月04日

米国の学際的チームがPZTの2倍の性能指数を持つ圧電材料を開発

米国のウィスコンシン大学マディソン校の研究者が、シリコン基板上にPMN-PT(マグネシウム酸ニオブ酸チタン酸鉛)の薄膜を形成し、ペンシルベニア州立大学の研究者が圧電性能を測定したところ、従来の代表的な圧電材料PZTと比較して、2倍の性能指数が得られたとのことです。

この研究グループには、2大学の他に、米国立標準技術研究所(NIST: National Institure of Standards and Technology)、ミシガン大学、カリフォルニア大学、バークレー、コーネル大学、アルゴンヌ国立研究所も参加しています。
 
Harvesting: Designer piezo breaks conversion record
 
上のグラフの横軸に並んでいるのが代表的な圧電材料で、右端のThis workが、今回開発されたPMN-PT薄膜にあたります。
 
左側の縦軸(赤色)が圧電定数d31で、右側の縦軸(青色)が圧電発電の性能係数です。

従来は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)やAlN(窒化アルミニウム)といった材料が圧電発電にはよく使われてきましたが、今回開発された薄膜材料の性能は、青色のグラフで示されているように、過去の薄膜圧電材料の2倍以上と、非常に高いものです。

この薄膜PMN-PT発電素子は、MEMSデバイスに組み込み、例えば橋梁、飛行機、人体などのセンサーの電源に使うことが想定されています。
 
  
 
この材料の問題のひとつは鉛を含んでいることですが、米国は材料の環境負荷はあまり気にしません。
 
これまで、なかなかPZTに代わるよい圧電発電の材料が見つからなかっただけに、今回の研究成果は画期的と言えなくはないですが、PZTの代替材料を探す大きな理由が鉛を使わないようにするためなので、その意味ではあまり進展はありません。
 
PZTの代替材料開発では、欧州のピエゾ研究所の取り組みも期待されます。
 
 
参考情報:
Giant piezoelectric effect to improve MEMS devices
(2011年12月2日、Physorg.com)
Harvesting: Designer piezo breaks conversion record
(2011年12月2日、ElectronicsWeekly.com)

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posted by 竹内敬治 at 19:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | エネルギー・ハーベスティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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