2010年12月12日

日本発の環境発電技術の報道が海外でも広がる:逆磁歪効果を利用した振動発電(金沢大学)とハイブリッド型発電デバイス(富士通研究所)

2010年12月9日、株式会社富士通研究所は、光電変換と熱電変換が可能なハイブリッド型発電デバイスを開発したことを発表しました。

英語のプレスリリースも出したこと、米国で開催中の国際会議IEDM 2010 (International Electron Devices Meeting 2010)でもほぼ同時に発表したこともあり、海外で大きく報道されています。


 

少し前(2010年12月1日)に、金沢大学准教授の上野敏幸先生が逆磁歪方式の振動発電機を開発したことが日経新聞WEB刊などで報道されました。こちらは日経Tech-On!の英語サイトから海外で報道が広がりました。


 

逆磁歪式の振動発電機は、1年前(2009年12月19日)に、WBB最新情報の記事( 逆磁歪式の振動発電機:国内外の研究事例 ) で紹介したように、国内外で開発が進んでいます。

金沢大学が今回発表した振動発電デバイスについては、日経の報道では、

外形寸法は約2mm×3mm×12mmと小さく,357Hzの振動時における発電量は1.56mWと大きい。体積当たりのエネルギー密度は約22mW/cm3と計算できる。一般に,小型振動発電機のエネルギー密度は1mW/cm3程度といわれており,開発品は約20倍以上もの発電量となる。

と書かれており、ここだけ読むと、あたかも出力密度が画期的に大きい振動発電デバイスが開発されたかのような印象を与えます。

しかし、振動発電デバイスの出力密度(の理論的な最大値)は、振動数の3乗に比例しますので、例えばオムロンが開発しているような、振動数30Hzの振動発電機と比較すると、振動数がひと桁大きい357Hzの振動発電デバイスなら、1000倍発電してもよいのです。


記事中に書いてある、「一般に,小型振動発電機のエネルギー密度は1mW/cm3程度といわれており」というのは、寡聞にして聞いたことがありません。

振動発電機の出力密度は、上述のとおり振動数に大きく依存するので、いちがいに幾らとは言えないですし、そもそも「エネルギー密度」の単位はmJ/cm3 などであって、mW/cm3ではありません。

...というような指摘を行った記事は、海外の報道を見た範囲では、見つかりませんでした。



富士通研究所のハイブリッド発電デバイスの記事も、具体的な発電効率などの数値がないままで、世界に広がっています。



これらに挙げたような、技術的な評価なく報道が広がる状況は、いわゆるHypeが生まれる兆候と思われます。


参考情報:
光と熱の両方から電力を作り出すハイブリッド型発電デバイスを開発
周りの環境から自給自足で電力を作り出すエネルギーハーベスティングの普及に大きく貢献
(2010年12月9日、富士通研究所プレスリリース)

「ボタン電池の置き換え」狙う小型振動発電機を金沢大が開発
(2010年12月1日、日経新聞WEB刊)

関連記事:
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posted by 竹内敬治 at 20:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | エネルギー・ハーベスティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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