2009年04月26日

海水と淡水で塩分濃度差発電:オランダで実用化するか?

オランダのレーワールデン(Leeuwarden)市は、締切り大堤防(Afsluitdijk)の近くにあります。同市のWETSUS研究所では、海水と淡水の塩分濃度差を利用した発電を研究しています。
 

 オランダの締切り大堤防(Afsluitdijk)は、ゾイデル海の一部を締切る全長30kmの堤防です。1922年に堤防が建設され、内側は淡水湖(アイセル湖)になっています。 
 
 WETSUS研究所では、持続可能な水利用技術の研究を行っており、研究テーマの一つが、塩分濃度差発電です。"Blue energy"と呼んでいます。
 
 塩水と淡水の間を、塩素イオンのみを通す膜と、ナトリウムイオンのみを通す膜で仕切ると、塩素イオンの入った水、ナトリウムイオンの入った水ができます。この2つの水には電位差があるので、電池になります。つまり発電装置になります。
 
2020年までに、200メガワットの発電所を建設する計画です。完成すれば、オランダ北部の3つの州、30万世帯の電力をまかなえるはずです。
 
この発電方法は、淡水と海水が出会う場所ならどこでも使えます。例えば、毎秒2000立方メートルの流れがあるライン川では、理論的には5ギガワットの発電が可能です。

濃度差発電に利用する水量を全体の5分の1以下に抑えれば、環境への悪影響は避けられるとのこと。

課題は、イオン分離膜のコストです。Afsluitdijkダムの「膜発電所」の建設には何十億ユーロもかかるし、発電コストは化石燃料を利用する発電所の倍になります。
  
塩分濃度差発電の普及のカギは、イオン分離膜のコスト低下のようです。

 
参考情報:
Blue energy: a new 'green' power source
(2009/4/22, Radio Netherlands Worldwide)

関連記事:
New Energy Technologies社 vs. Highway Energy Systems社:道路を走る車両からエネルギーを獲得 [2009/04/23 20:00]
「押すと発電」EnOceanのライバルLighting Switch [2009/04/10 19:20]
急進展する環境発電技術/対応デバイスの概要・開発動向と応用例及び今後の展開(日本技術情報センター主催、2009年5月21日) [2009/04/10 18:49]
国内外にみる環境発電(エネルギー・ハーベスティング)の 技術・開発動向と応用例及び今後の課題・展望(日本技術情報センター主催、2009年5月15日) [2009/04/10 18:39]
Cymbet社、太陽電池ハーベスティングのための電源管理デバイスEnerChip EH モジュールを発表 [2009/04/05 19:06]

海からエネルギーを収穫  波力・潮力・温度差発電のいろいろ(1) [2008/10/10 19:34]
木からエネルギーを収穫して稼働する無電源の山火事早期警戒センサーネット [2008/09/27 20:39]
「押すと発電」無電源ワイヤレス・スイッチのEnOcean、2013年の売上予測は14億ドル [2008/07/25 18:22]
エネルギー・ハーベスティングで膝治療用の体内埋め込みセンサーに電源供給 [2008/07/25 18:08]
環境センサー・ネットワークの電源にも使える「雨粒発電」 [2008/07/25 16:23]
 



posted by 竹内敬治 at 22:18 | Comment(2) | TrackBack(1) | エネルギー・ハーベスティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
面白い情報ですね。
濃度差があればどこでも発電できるということでしょうか?
そこで質問なのですが、チュニジアのくぼ地に海水を流しこんで濃い塩水を作り、地中海との濃度差を利用して、発電し、その電力で海水淡水化するということは実現可能だと思いますか?
Posted by sahara2012 at 2012年01月18日 19:59
面白い情報ですね。
濃度差があればどこでも発電できるということでしょうか?
そこで質問なのですが、チュニジアのくぼ地に海水を流しこんで濃い塩水を作り、地中海との濃度差を利用して、発電し、その電力で海水淡水化するということは実現可能だと思いますか?
Posted by desert2012 at 2012年01月18日 20:01
コメントを書く
ニックネーム(個人が特定できる情報は書き込まないでください):

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。 

この記事へのトラックバック

海水の流れ・潮流を利用して発電すると、発電コストは太陽電池の10分の1!!
Excerpt: 塩分濃度差発電の原理が海洋エネルギー利用機構のホームページに動画で示されています。この動画で示される原理は、オランダのものとは少し異なるようです。
Weblog: 伝右の日記・日々考えること感じること
Tracked: 2010-02-06 14:00
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。